不正咬合とは
不正咬合とはいわゆる、正常ではない噛み合わせの状態をいいます。
様々な原因、個人差はありますが、骨格的な問題からきているのか、歯やそれ以外が問題なのかに分けて考えるとわかりやすいと思います。
不正咬合の種類
下記に挙げた不正咬合は一部に過ぎず、これらの複合的なものがほとんどです。
そのため患者さんごとに全く状況が異なるため、しっかりとした診断が必要になります。
当院では、抜歯しての治療を選択する場合があります。矯正歯科医として、すべての患者さんに対して歯を抜かない治療方針、安易な拡大矯正を行うことはできません。歯科医師も歯を抜きたくて抜くわけではなく、そのほうが患者さんにメリットが高い場合のみ抜歯を選択します。当院では歯を抜く場合どうなるか、抜かない場合どうなるかをどちらも検討して提示いたします。そのため、ご納得した上で治療を受けていただけると思います。
01上顎前突(じょうがくぜんとつ)・出っ歯
主な原因
- 骨格性:上顎の骨が大きい、下顎の骨が小さい
- 歯性:上の歯が全体的に前方にある、下の歯が全体的に内側に入っている
- その他:舌突出癖、指吸い、口呼吸などの習癖
顔貌は口元の突出感、下顎部分の筋肉の緊張を伴います。成長が期待できる場合には、上顎の成長抑制や下顎の成長促進を行います。
骨格的な問題が大きい場合には、上下の顎のバランスを歯でおぎなう必要があるため、歯列の全体的な移動や、歯を抜いた方が良好な治療結果が得られる場合があります。
02下顎前突(かがくぜんとつ)・受け口
主な原因
- 骨格性:上顎の骨が小さい、下顎の骨が大きい
- 歯性:上の歯が全体的に内側に入っている、下の歯が全体的に前方にある
- その他:舌のポジションが低い位置にある など
受け口といわれるもので、小児であれば早期治療の適応になるものが多いです。成長が期待できる場合には、上顎の成長促進や下顎の成長抑制を行います。骨格的な問題が大きい場合には、上下の顎のバランスを歯でおぎなう必要があるため、歯列の全体的な移動や、歯を抜いた方が良好な治療結果が得られる場合があります。あまりにも上下の顎のバランスが悪く、矯正治療だけでは限界がある場合には外科的なサポートをして外科的矯正治療を行うことがあります。その場合は保険適応となります。
03上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)
主な原因
- 骨格性:上顎下顎ともに骨が大きい
- 歯性:上下の歯が全体的に前方にある
- その他:舌突出癖などの習癖
口元の突出感を伴います。横顔や口元が気になるようでしたら、歯を抜いた方が良好な結果が得られることが多いです。内側からの圧が強く、舌が原因となっていることが多いので筋肉のトレーニングや治療後の保定にも特に注意が必要になります。
04開咬(かいこう)
主な原因
- 骨格性:上顎の骨と下顎の骨の角度が開いている
- 歯性:奥歯が挺出している、前歯が歯茎方向に圧下している
- その他:舌突出癖、指吸いなどの習癖
共通しているのは前歯が上下的に噛み合っていないことです。骨格的な問題が大きい場合には、歯を抜いた方が良好な治療結果が得られる場合があります。また、奥歯を上下的にコントロールすることで良好な結果を得られることが多く、矯正用アンカースクリューを使用することで、従来ではできなかった動きが可能になりました。舌が原因となっていることが多いので筋肉のトレーニングや治療後の保定にも特に注意が必要になります。
05叢生(そうせい)・でこぼこ
主な原因
- 骨格性:骨が小さい
- 歯性:歯が大きい
- その他:乳歯から永久歯への生え変わりなど
いわゆる歯のデコボコ、ガタガタと言われる状態です。八重歯などはこれに含まれます。
歯の並ぶ骨が小さく、歯が大きい場合に起こります。乳歯から永久歯への生え変わりの時期であれば、顎の成長を利用したり、歯自体を前後左右に誘導することで、きれいな歯並びを得ることができる場合が多いです。顎の骨の成長が終わっていれば、土台の大きさを変えることはほぼできません。そのため骨の幅の中で歯をきれいに並べるため、抜歯や歯の側面を少し削るなどの隙間を作る必要があります。
06空隙歯列(くうげきしれつ)
主な原因
- 骨格性:骨が大きい
- 歯性:歯が小さい
- その他:舌突出癖などの習癖
すきっ歯と言われる状態です。舌が原因となっていることが多いので筋肉のトレーニングや治療後の保定にも特に注意が必要になります。また、歯が小さい場合には、必要であれば被せ物をすることで非常に審美的になります。その場合にも矯正による正確なスペースコントロールが必要になります。