矯正治療による副作用、医学的不利益
矯正治療は歯の周りの組織に弱い炎症を起こし、それをコントロールすることで移動を可能にしています。
生体の機能を利用するため、人によって組織の反応は様々なため医学的な不利益が生じることがまれにあります。原因不明のものも多く、絶対に起こらないとは言えないため、矯正治療をうけるにあたり知っておくことが重要です。
- 歯はどうして動くのか?
- 副作用について
- 歯根吸収
- 歯肉退縮
- アンキローシス
- 歯髄壊死
- まとめ
どうして歯は動くのか?
→矯正は炎症である
副作用を知る前に、主作用を知る必要があります。周りには歯根膜という薄い組織があり、骨と歯の間に介在しています。ここに矯正装置によって弱い炎症を引き起こすことで、歯の進行方向には骨を吸収する細胞が現れ、進行方向と逆側は骨を作る細胞が現れることで、歯の移動を可能にしています。炎症であるという性質を考えれば、矯正治療で歯が動く際には痛みを生じるのは当然であると言えます。
副作用について
1.歯根吸収
歯根は通常、円錐形をしていますが、矯正治療により根の先が丸くなることがあります。これを歯根吸収と言います。起こる人もいれば起こらない人もいるので、矯正治療をする前には、リスクとして理解しておく必要があります。原因ははっきりとはわかっていませんが、移動時に硬い骨に根が当たったり、骨を吸収する細胞が歯に作用してしまったりして起こるのではないかと言われています。
2.歯肉退縮
ガタガタの具体が強かったり、骨が薄い部分に起こりやすい副作用です。歯茎のレベルが下がってしまい、見た目には歯間部に隙間があるように見えます(ブラックトライアングル)。
これはもともとの歯の形態にも左右されることも多く、加齢変化でも起こります。
3.アンキローシス
骨と歯がくっついてしまうことをいいます。レントゲンでも判断できないことが多いため、
歯を動かすことで判定することがあります。アンキローシスした歯は全く動かないので歯を一度脱臼させ動かしたり、治療方針や治療目標を変更する場合もあります。
4.歯髄壊死
歯の移動中に歯の神経が死んでしまうことがあります。大きな歯の移動によって、血流が断裂することもあれば、原因不明のこともあります。
まとめ
矯正治療は機能面でも審美面でも非常に大きな利益をもたらすものです。
その一方で、生体の機能を利用して歯を動かすため、必ずリスクがあることを理解して治療をうける必要があります。