歯列矯正とアレルギー
歯並びをキレイにしたいという人でも障害となるのが、アレルギーの問題です。何に対してアレルギーがあるのかによって、使える装置使えない装置がでてくるからです。場合によっては装置自体の変更や、目標の変更が必要になる場合があります。ここではどの装置にどのような材料が使われてるのかを装置別にみていきます。
- 歯列矯正で注意すべきアレルギー
- セルフチェック
- 使われている成分(装置、製品別)
- まとめ
歯列矯正で注意すべきアレルギー
アレルギーには型があり大きく5つに分けられます。歯列矯正で気をつけるべきアレルギーは特にⅠ型とⅣ型アレルギーでしょう。
即時型と言われるⅠ型は食べ物のアレルギーや花粉症などが含まれ、15分から30分で症状が現れます。歯科材料に使用されているゴム系材料は注意が必要です。バナナやキウイなどにアレルギーがある人は30-50パーセントほど交差反応を示すとの報告もあるので注意が必要です(ラテックスフルーツ症候群)。また、歯科医院で使用する歯磨剤に牛乳系の成分が含まれていることがあるので事前に申告しておく必要があります。
遅延型と呼ばれるⅣ型は、24時間から72時間で症状が現れ、金属アレルギーなどの接触性皮膚炎がこれに含まれます。歯科材料には様々な材料がある上に、製品によって成分が異なるため医院に事前に確認すると良いでしょう。
まずはセルフチェック
口の中に金属の詰め物、被せ物は入っていないか?
金属を身につけて肌荒れした経験はないか?(ネックレス、ピアス、時計など)
ゴム、バナナ、キウイ、アボガド、クリなどの食べ物のアレルギーはないか?
使われている成分(装置、製品別)
- 一般的な矯正装置(マルチブラケット装置)
・ニッケルチタンワイヤー(TOMY センタロイ):Ti,Ni
・ステンレススチールワイヤー(ORMCO):Cr,Ni,C,Mn,P,S,Si,Fe
・ゴムメタルワイヤー:ワイヤ;Nb,Ta,Zr,Ti, メッキ;Au,Rh
・メタルブラケット(デンツプライシロナ):主成分;Ni,Cr,Fe 16K金ロウ成分;Au,Ag,Cu,Zn,Ni,In
・セラミックブラケット(バイオデント エンパワークリア)
ブラケット本体;サファイア(酸化アルミニウム)
クリップ本体;コバルト合金
コーティング:ロジウム
・ラテックスエラスティック(デンツプライシロナ プロチェーン):ポリウレタンゴム
・ラテックスフリーエラスティック(TOMY 顎間ゴム):スチレンブタジエンゴム,タルク
・矯正用アンカースクリュー(KAVO ベクターTAS):チタン合金(Ti6Al4V)
- マウスピースシート(Erkodent エルコフレックス):EVA
- 床装置
・プラスチック部(松風 プロビナイス):メタクリル酸メチルとメタクリル酸エチ ルの共重合体、反応開始材、着色材、 その他
・ワイヤー部(デンツプライシロナ サンプラチナ矯正線):Co,Cr,Ni,Tn,Mo,Mn,Fe
- リンガルアーチ
・バンド:(RMO 歯科矯正用バンド):ステンレス鋼板、Fe,Cr,Ni,Mn,他
・主線(デンツプライシロナ サンプラチナ矯正線):Co,Cr,Ni,Tn,Mo,Mn,Fe
・銀ロウ(デンツプライシロナ オーソソルダー):Ag,Cu,Zn,Sn
- ムーシールド(RMO):ポリメタクリル酸メチル(PMMA)
まとめ
矯正治療を受ける上で、アレルギーは大きな問題となります。しかし、技術の進歩によって、金属アレルギーやラテックスアレルギーであっても、アレルギーに対応したワイヤーやブラケット、またはマウスピースなどの代替装置もあります。矯正をお考えの方は、アレルギーであってもまず相談の上、どのような選択肢があるのか知ることが重要です。