リンガル矯正はただ単に裏側に装置をつけて矯正するだけではありません。裏に装置をつけることで起こってくる問題に対処するため、表側の処置では行わない処置が必要なこともあります。事前に知っておいてもらうことで、他の処置と比較する助けになればと思います。
①バイトアップ
②発音
③補助的な装置
④歯肉切除
⑤場合によっては部分的に、装置を表につけた方が良いことも!?
⑥仮歯
①バイトアップ
通常、歯は上顎の歯の裏側と、下顎の歯の表側(切縁部)で噛み合っています。
リンガルブラケットは上顎の歯の裏側に装置をつけるため、通常噛み合う部分に装置をつけることになります。そのため何も処置をしないと、主に上顎の前歯の裏側についているブラケットに下の前歯が当たり、装置が脱落してしまいます。
そこでバイトアップという処置を行います。
主に奥歯の噛む面に、歯科用のセメント(接着剤)を築盛することで前歯を当たらなくする処置です。噛み合わせが深い患者さんは、バイトアップの量を多くする必要があり、違和感が大きいこともあります。
②発音
表側の矯正よりも発音しづらくなることがあります。特に上の前歯に舌を当てて発音するような音が出しづらくなります。舌足らずになるイメージです。しかし、徐々に慣れてくる方が多く、自分が思っているほど他人からは気にならないことが多いです。
③補助的な装置
リンガル矯正では、最終的な調整時に噛み合わせが浅くなることが多く、ご自身でゴムかけをしていただくことが多いです。
④歯肉切除
裏側は装置と歯茎との距離が近く、場合によっては装置がつけられない場合があります。そのため、必要に応じて歯茎の一部を外科的に切除した方が良い場合があります。また、清掃状態が悪く歯肉の腫れがひどい場合にも行うことがあります。
⑤場合によっては一部表につけた方が良いことも!?
上記③のようにゴムかけをしてもらう場合には、基本的には裏側にフックを設置して行ってもらいます。ただ、あまりにもかけにくい場合は表側に白いボタンそ設置しそちらにかけることを相談する場合があります。
また、最後方臼歯などは歯茎との距離が近く装置がつけられないことも多々あります。そんな時は上記④のように歯肉切除する場合や、奥歯には表側の装置を併用させてもらうこともあります。
⑥仮歯
ラビアル矯正では表側に装置がつくため、抜歯した場合でも見た目には気にならないことが多いですが、リンガル矯正では抜歯部は見た目にも気になることが多いです。
そのためリンガル矯正で抜歯を行った際には、抜歯部に仮歯を装着することが多いです。動きを抑制しないよう、動かす方向は隙間を設けるためわずかに(1mmほど)隙間を空けておきます。
仮歯は取れやすいため、見た目が気にならなければ不要という方も多いです。