上顎前突・出っ歯とは

上顎の歯が下顎に対して、あるいは顔面に対して前方に突出している状態を指し、世間一般では「出っ歯」と呼ばれ、頻度の高い不正咬合の一つです。
この状態では、口を閉じた際に上唇が盛り上がって見えたり、リラックスした状態でも口が自然に閉じず、前歯が露出してしまうことが特徴です。審美的な問題として認識されることが多い疾患です [上顎前突, p.3, 5]。
上顎前突・出っ歯の原因

主な原因には遺伝的な骨格要因と後天的な習癖があります。
骨格的には上顎の骨が過成長している、あるいは下顎の骨が後退している場合に生じます。
後天的な要因としては、幼少期の長期にわたる指しゃぶりや、下唇を噛む癖、舌で前歯を押し出す癖(タングスラスト)、口呼吸などが挙げられます。
これらの習慣が歯に持続的な力を加え、前歯を外側に傾斜させ、顎の成長発育に悪影響を及ぼすことで症状が悪化します [上顎前突, p.81; わかる矯正歯科治療, p.132]。
上顎前突・出っ歯を放置するリスク

見た目による心理的なストレスに加え、機能面でも多くのリスクを伴います。突出した前歯は転倒時に破折したり、唇を傷つけたりする外傷リスクが高まります。
また、口が閉じにくいため口腔内が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなることで、虫歯や歯周病、口臭の原因となります。
さらに、サ行などの発音に支障が出ることや、噛み合わせのバランスの悪さから奥歯に過度な負担がかかるリスクも指摘されています[上顎前突, p.12; わかる矯正歯科治療, p.49]。
上顎前突・出っ歯の治療とは

治療法は成長段階により異なります。成長期の子供では、ヘッドギアなどの装置を用いて、顎の成長をコントロールし骨格的なバランスを整えます。
永久歯が生え揃った後は、マルチブラケット装置による矯正が一般的です。スペースを作るために小臼歯を抜歯し、その隙間を利用して前歯を後退させます。
近年では、歯科矯正用アンカースクリュー(TAD/MIA)を用い、より効率的に前歯を後退させる方法も行われます[わかる矯正歯科治療, p.96; MIAを用いた矯正歯科治療, p.106]。