下顎前突・受け口とは

下顎が上顎よりも前方に出ている状態、あるいは上下の前歯の噛み合わせが前後逆になっている状態を指し、「反対咬合」とも呼ばれます。
顔立ちとしては、下顎の先端(オトガイ)が突出して見えるのが特徴です。日本では比較的多く見られる不正咬合で、正常な噛み合わせでは上の前歯が下の前歯を2〜3mmほど覆っていますが、この疾患では下の歯が前に出るため、咀嚼機能や審美性に大きな影響を及ぼします [反対咬合, p.3, 5]。
下顎前突・受け口の原因

遺伝的な要因が強く、下顎の骨が過成長する、または上顎の骨の成長が不足することで骨格的に生じます。
また、環境的要因として、舌を低い位置(下顎)に置く癖や、鼻咽腔疾患による口呼吸が下顎を前方へ誘導することもあります。
さらに、乳歯の早期喪失によって永久歯の生え方が異常になり、機能的に反対の噛み合わせが定着してしまう「機能性反対咬合」が原因となる場合もあります [反対咬合, p.61, 83]。
下顎前突・受け口を放置するリスク

前歯で食べ物を噛み切ることが難しいため、咀嚼能率が低下し、胃腸への負担が増える可能性があります。
また、サ行などの発音が不明瞭になる滑舌の問題も生じやすいです。
長期的には、下顎が前方に固定されることで顎関節に負担がかかり、顎関節症を引き起こすリスクが高まります。
また、年齢とともに下顎の成長が促進される性質があるため、放置すると骨格的なズレがより深刻化する恐れがあります [反対咬合, p.20, 24]。
下顎前突・受け口の治療とは

子供の場合は、チンキャップや上顎前方牽引装置を用いて、顎の成長バランスを整える骨格的なアプローチを行います。
永久歯列期では、マルチブラケット装置を用いて歯並びを整えますが、重度の骨格性疾患の場合には、矯正治療のみでは改善が難しく、外科手術を併用して顎の骨を移動させる「外科的矯正治療」が必要になります。
近年ではアンカースクリューを用いて、手術を回避できる症例も増えています [反対咬合, p.378; 顎変形症の術前歯科矯正治療のすすめ方, p.31]。