開咬とは

奥歯でしっかり噛み合わせても、上下の前歯が接触せず、隙間が開いてしまう状態(オープンバイト)を指します。
前歯が噛み合わない範囲は症例により異なりますが、重度の場合、食べ物を前歯で噛み切ることが全くできなくなります。
垂直的な噛み合わせの異常であり、矯正歯科治療の中でも特に治療難易度が高く、治療後の後戻り(再発)も起こりやすい疾患として知られています [開咬, p.3, 7]。
開咬の原因

遺伝的な骨格要因に加え、幼少期の習癖が強く影響します。
長期の指しゃぶりや、上下の歯の間に舌を突き出す「舌突出癖(タングスラスト)」、口呼吸、下唇を噛む癖などが原因となります。
これらの癖により、前歯の萌出が阻害される一方で、奥歯が伸びすぎてしまい、噛み合わせのバランスが崩れます。また、アデノイド肥大などの疾患による呼吸の問題が開咬を誘発することもあります [開咬, p.34, 73]。
開咬を放置するリスク

前歯で噛み切るという本来の機能を果たせないため、咀嚼効率が悪くなり、丸飲みする習慣がついて胃腸に負担をかけます。
また、発音時に隙間から空気が漏れるため、サ行などが聞き取りにくくなります。最大の問題は、前歯が噛み合わない分、奥歯に過度な負担が集中することです。これにより、将来的に奥歯が早期に破折したり、歯周病を悪化させて失ったりするリスクが極めて高くなります [開咬, p.120, 233]。
開咬の治療とは

まず原因となる舌の癖や口呼吸を改善するため、口腔筋機能療法(MFT)というトレーニングを行います。
装置としては、マルチブラケットに加え、アンカースクリューを用いて奥歯を沈める(圧下させる)ことで、下顎を回転させて前歯を閉じさせる治療が非常に効果的です [開咬, p.292, 312]。
骨格的なズレが著しい成人の重症例では、外科手術を併用して顎骨の形を修正し、安定した噛み合わせを目指します [TADによる矯正歯科治療, p.101]。