正中偏位とは

顔の中心線(鼻筋や人中のライン)に対して、上下の歯の真ん中のライン(正中)が左右にズレている状態です。
上の歯の中心がズレている場合、下の歯の中心がズレている場合、あるいはその両方が異なる方向にズレている場合があります。
わずかなズレは多くの人に見られますが、大きくズレていると顔立ちが左右非対称に見え、審美的な問題が生じます [わかる矯正歯科治療, p.206; MIAを用いた矯正歯科治療, p.68]。
正中偏位の原因

原因は多岐にわたります。骨格的な原因としては、下顎の骨が左右非対称に成長している場合や、顎の関節の長さが左右で異なる場合が挙げられます。
歯の要因としては、歯の数が左右で違う、乳歯が片側だけ早く抜けて永久歯が移動してしまった、あるいは噛み癖などにより歯列全体が片側に寄ってしまったことが原因となります。
指しゃぶりなどの習癖が関与することもあります [わかる矯正歯科治療, p.206; MIAを用いた矯正歯科治療, p.68]。
正中偏位を放置するリスク

最大の懸念は審美的な影響です。笑った時や話す時に口元が歪んで見えるため、容貌にコンプレックスを感じることがあります。
機能面では、正中がズレていることで上下の歯が適切に噛み合わず、咀嚼能率が低下したりします。
また、顎を左右不均等に動かす癖がつくことで、顎関節症を発症したり、顔の歪みが経年的に進行したりするリスクも伴います [わかる矯正歯科治療, p.206; MIAを用いた矯正歯科治療, p.68]。
正中偏位の治療とは

歯の原因であれば、マルチブラケット装置やアンカースクリューを用いて、左右非対称に歯を動かし、正中を一致させます。
抜歯を行う際に、左右で抜く本数や場所を変えることで調整することもあります。
一方で、骨格的な顎の歪みが原因の重度な症例では、矯正治療だけでは限界があるため、外科手術によって顎の骨の位置自体を左右対称に整える「外科的矯正治療」が選択されます [MIAを用いた矯正歯科治療, p.68; わかる矯正歯科治療, p.48]。